結論・今回のポイント
日本人と台湾人の子どもの国籍は、「台湾で生まれたから台湾国籍」「日本で生まれたから日本国籍」という単純な出生地主義では判断できません。日本では国籍法第2条により、出生時に父または母が日本国民であれば、原則として子は出生によって日本国籍を取得します。台湾内政部の案内でも、出生時に父または母が中華民国国民である者は中華民国国籍に該当するという基本原則が示されています。このため、日台夫婦の子は出生時に双方の制度上の国籍要件を満たす可能性がありますが、実際の国籍保有状態や戸籍・定居手続は個別に確認する必要があります。
背景と制度
国籍はそれぞれの国・地域が自国法に基づいて判断します。日本側が「日本国籍を持っている」と判断しても、それだけで台湾側の国籍や戸籍が決まるわけではありません。台湾内政部の戸政FAQでは、出生時の父または母が中華民国国民である場合の国籍原則が示されています。さらに台湾で戸籍を設定できるか、台湾の旅券や身分証を取得できるかという問題は、国籍の有無だけではなく「台湾地区に戸籍がある国民」か「無戸籍国民」かという制度とも関係します。
誰に関係するか
日本人と台湾人の夫婦が日本、台湾、または第三国で出産する場合に関係します。特に台湾人親が台湾に戸籍を持ち、子どもを将来台湾で生活させる可能性がある家庭、あるいは海外で出産して日本国籍の留保が必要になる家庭は、出産前から手続を確認しておくべきです。
日本側の出生手続
日本の法務省によれば、出生時に父または母が日本国民であれば、原則として子は日本国民となります。ただし、外国で生まれ、出生によって同時に外国国籍も取得する子については特に注意が必要です。法務省および外務省は、出生の日から3か月以内に出生届とともに日本国籍を留保する意思表示をしなければ、出生時にさかのぼって日本国籍を失う場合があると明確に案内しています。海外出産ではこの3か月という期限が非常に重要です。
国外出生の場合、出生届には外国官公署が発行した出生登録証明書または医師等の出生証明書と日本語訳などが必要となります。届出先は在外日本公館または日本の本籍地等の市区町村です。出生地や現地制度によって取得できる出生証明の形式が異なるため、出産予定国の日本大使館・総領事館へ事前確認しておくと安全です。
台湾側の手続
台湾側では、台湾国籍を持つ親から海外で生まれた子について、国籍だけでなく台湾での戸籍設定や定居の可否を確認します。台湾移民署は、国外出生者について、出生時に父または母が台湾地区に戸籍を置く国民であった場合の定居手続を案内しています。2025年5月更新のFAQでは、国外で出生し、中華民国旅券を持って入境する者について、出生時に父または母が台湾地区に戸籍を持つ国民であれば、一定のケースで居留期間を経ずに定居申請が可能とされています。ただし、出生場所、年齢、使用する旅券、親の戸籍状況などによって手続が異なります。
国際結婚家庭への影響
子どもの将来の学校、居住、旅券、相続、行政手続を考えると、出生後すぐに「どちらの国の書類を取得するか」を整理しておく必要があります。日本の出生届をしただけでは台湾側の戸籍が自動作成されず、台湾側の手続きをしただけでも日本の戸籍へ自動記載されるわけではありません。両方の制度を並行して確認してください。
注意点と最終確認先
重国籍状態の扱いや将来の国籍選択については、子の出生時の国籍、出生地、各国法の変更によって結論が変わる可能性があります。台湾の国籍・戸籍の可否は台湾内政部・移民署、日本国籍については法務局・法務省・在外日本公館が最終確認先です。特に海外出生から3か月以内の日本国籍留保は期限を過ぎると重大な影響があるため、出産後ではなく妊娠中から必要書類と提出先を確認しておくことを推奨します。