外国人向け「日本語・生活学習プログラム」創設を政府が検討、日本人の外国籍配偶者にも将来影響する可能性
2026年7月、外国人向けの新しい学習制度案が公表
日本人男性と中国・台湾・香港・シンガポールなど出身の女性が結婚し、日本で生活する場合に将来関係する可能性のある新しい政策が動き始めています。出入国在留管理庁は2026年7月3日、外国人が日本語や日本の制度・ルールなどを学ぶプログラムについて、法務大臣政務官プロジェクトチームの報告書を公表しました。現時点では新しい義務がすでに施行されたわけではなく、今後の制度設計に向けた検討段階です。
背景には2026年1月の政府方針
政府は2026年1月23日に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を取りまとめました。その中で、日本に在留する外国人について、日本語だけでなく、日本の制度や生活上のルールなどを体系的に学ぶプログラムの創設を検討する方針が示されています。帯同家族を含め、外国人が日本で生活するために必要な知識を身につける機会を整備することが目的とされています。
単なる日本語教室ではない
今回検討されているプログラムの特徴は、日本語能力だけを学ぶ仕組みではないことです。日本で生活するうえで必要となる行政手続き、税・社会保障、生活上のルール、地域社会での生活などを含め、日本語と生活知識を組み合わせて学習する方向が示されています。
出入国在留管理庁はすでに外国人生活支援ポータルサイトを運営し、「生活・就労ガイドブック」や生活オリエンテーション動画を多言語で提供しています。今回の構想は、こうした既存の情報提供をさらに体系的な学習制度へ発展させることを検討するものと位置付けられます。
訪日前からオンラインで学べる仕組みも検討
報告書では、ICTを利用し、日本へ入国する前から学習できる環境をつくる方向も検討されています。国際結婚の場合、中国や台湾などに住んでいる外国人配偶者が日本へ移住する前から、日本語や日本での生活ルールを学べる仕組みが整えば、新生活を始める際の準備に役立つ可能性があります。
結婚後に必要となる住民登録、健康保険、年金、税金、銀行、住居、子育てなど、日本で生活するには多くの制度があります。外国人配偶者が来日して初めてすべてを知るのではなく、来日前から基本的な仕組みを理解できる環境を整えるという考え方です。
在留審査への活用も今後の検討課題
今回特に注目されているのが、プログラムの受講状況などを将来の在留審査にどのように活用するかという点です。政府の総合的対応策では、在留資格や永住許可などについて、日本語や日本の制度・ルール等を学習するプログラムの受講を条件とすることを含めて検討する方向が示されています。
ただし、2026年8月現在、日本人と結婚した外国人が在留資格「日本人の配偶者等」を取得するために、新しい日本語試験や今回の学習プログラムを受講しなければならない制度が導入されたわけではありません。出入国在留管理庁が現在公表している「日本人の配偶者等」の申請書類では、日本人配偶者の戸籍謄本、外国で発行された婚姻証明書、質問書、生活費を証明する資料などが案内されています。
日本人の外国籍配偶者にどこまで適用されるかは未確定
政府方針は日本に在留する外国人を広く視野に入れていますが、最終的にどの在留資格を対象とするのか、日本人の外国籍配偶者についてどの程度受講を求めるのか、受講を義務化するのか、在留期間更新や永住審査でどのように評価するのかといった具体的な制度はまだ確定していません。
そのため、「今後、日本人と結婚する外国人には日本語試験が必須になる」と現段階で断定することはできません。制度の目的、対象者、学習時間、費用、受講方法、試験の有無などは今後の政府の検討を待つ必要があります。
国際結婚を考える人には日本語学習がより重要に
制度化の有無にかかわらず、日本へ移住する外国人配偶者にとって日本語を学ぶことは新生活を安定させるうえで大きな意味があります。病院で症状を説明する、市区町村の通知を読む、銀行や住宅の契約内容を理解する、子どもの学校や保育園と連絡を取るなど、日常生活の多くの場面で日本語が必要になります。
一方、日本人側も外国人配偶者だけに適応を求めるのではなく、行政書類を一緒に確認したり、必要な場合には外国語相談窓口を利用したりすることが重要です。国際結婚では、双方が相手の言語や文化を理解しようとする姿勢が新生活を支える基盤になります。
現在利用できる公的な外国人生活支援
出入国在留管理庁の「外国人生活支援ポータルサイト」では、日本で生活する外国人向けに、在留手続き、市区町村での届出、雇用・労働、出産・子育て、教育、医療、年金・福祉、税金、住宅、防災など幅広い情報を提供しています。生活・就労ガイドブックは複数言語で用意されているため、日本へ移住する予定の外国人配偶者が事前学習に利用できます。
国際結婚後に日本へ移住する予定が決まった段階で、こうした公的資料を夫婦で確認しておけば、来日後の行政手続きを進めやすくなります。
今後確認したいポイント
今後は、新プログラムの正式名称、開始時期、対象となる在留資格、受講方法、日本語能力の基準、受講費用、在留期間更新や永住許可との関係が重要な確認事項となります。政府の検討段階にある制度については、報道やSNSだけで判断せず、出入国在留管理庁や法務省が公表する正式な情報を確認することが大切です。
紅い靴からのポイント
2026年7月に公表された「日本語・生活学習プログラム」の報告書は、日本で暮らす外国人に対する政策が、在留資格の取得だけでなく「日本でどのように生活していくか」という段階まで重視する方向に進んでいることを示しています。日本人男性と中華圏の女性が結婚し、日本を生活拠点にする場合も、日本語、行政制度、税金、社会保険、住居、医療、子育てなどを結婚前から一緒に学んでおくことは有益です。ただし、2026年8月現在、新プログラムは検討段階であり、日本人の外国籍配偶者に新たな日本語試験や受講義務がすでに課されているわけではありません。今後制度が具体化した場合には対象者や在留審査との関係が変更される可能性がありますので、出入国在留管理庁などの公的情報を確認してください。個別の在留資格・永住申請については地方出入国在留管理局または専門家へ確認することをおすすめします。
重要ポイント
- 出入国在留管理庁は2026年7月3日、外国人が日本語と日本の制度・生活ルールを体系的に学ぶ新プログラムに関する検討報告書を公表した
- 政府はプログラムの受講状況を将来の在留審査などに活用することも含めて検討しているが、具体的な対象者・開始時期・義務化の範囲はまだ確定していない
- 2026年8月現在、「日本人の配偶者等」を取得するために今回の新プログラム受講や新たな日本語試験が義務化されたわけではない
出典
- 出入国在留管理庁 外国人が日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラムの検討に関する法務大臣政務官PT報告書
- 法務省 法務大臣閣議後記者会見の概要 2026年7月3日
- 内閣官房 外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議
- 出入国在留管理庁 外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策
- 出入国在留管理庁 外国人生活支援ポータルサイト
- 出入国在留管理庁 在留資格「日本人の配偶者等」